多次元神話 Vision Vine (幻覚のつる)

Earl Vickerの世界を語る

 

 インターネットで読んだ Earl Vickers 原作のVision Vine という作品を紹介します。原作をここにシノプシスとしてまとめても、それでもシンボルとして表わしているパワフルで多次元的なメッセージを失わない作品でした。

 

 

ヴィジョン・ヴァイン

 

  「おまえが他の世界で見てきた事を我々に分かち合ってくれ。」と酋長が尋ねると、そのウォリアーは答えた。「その世界っていうのは、俺が今までに行ったことのない世界だったのさ・・・光眩しくて、目が痛くなるくらいで、雑音はひどくておまけに混乱しているんだ。そして全く緑がないんだ。」

 

  「どこにその世界はあるんだ?」と再びチーフが尋ねると、「わけがわからないんだが、ここのどこかに存在しているってことは確かみたいなんだ。俺たちがここに座っているのと同時にどこかでね。そして時代は、人々がすごく強い魔法の力に目覚めて、俺たちの世界なんか一発で吹き飛んでしまうほど恐ろしい武器もあるんだ。」

 

  この種族の集会には、知られずして、こっそり話を聞いていた者がいる。アカールといって、壁のすきま穴から中の様子を盗み見している少年がいた。その時の酋長の顔が今まで見たこともないほど寂しげな表情にアカールの目には、映ったのであった。彼は混乱した頭を抱えてジャングルを歩いて行った。確かにチーフが集会で言っていた、俺たちの文化も失われるし、俺たちの世界が消えていくって言ってけど、どう言う意味なのだろうと森の中で考えていると、足元でジャガーの足跡を発見した。それを追って行くと、アカールはすぐにジャガーが目に止まった。「ひとっ跳びで殺す」という言い伝えをもつジャガーという崇高的な動物が視野に入ってきたのである。しかもツルを食っているではないか。

 

  やがてジャガーが吐き出す度に身震いするのもアカールは見た。すると突然、そのジャガーはアカールの真正面で目を見つめている。あまりにもの恐怖に彼は一瞬ジャガーから目を離すと、そこにはもうジャガーはいなかった。アカールは、いつか部族の長老たちが、ヴィジョン・ヴァイン(ヴィジョンを見るツル)とよばれるものについて語っているのを耳にしたことがある。しかもそれは絶対に監督をするものなくしてひとりでは飲むものではないと言っているのも聞いた。しかしこの最悪な状況を迎えた時だから、村で皆がやっていた儀式を思い出して一人でも飲んでみてもいいだろうと彼は考えた。そればかりか、自分たちの世界を守るためならば、かえって長老から喜ばれるばかりではなく、晴れて酋長の娘、イシャとも結婚むできるのではと、アカールは想像した。近くの廃虚から壊れた器をひらってきて、切り落としてきたツルを細かく刻んでからやわらかくなるまで、叩きつぶしたものを入れて煮る。夜暗い森の中で一人になったアカールは、できるだけの勇気を呼び起こした。そして煮上がった殆ど吐いてしまいそうにもなったひどい味のするものを一気に飲んだ。突然、アカールはぶるぶると震えて冷や汗をかき始めた。「おお!大変な事になっちまった!俺はここで死んでしまうに違いない!」というような恐怖で彼はすっぽり包まれてしまったのである。

 

  すると急に自分が誰かに見られていることに気がついた。あのさっきのジャガーが戻っているではないか。「おまえはひと爪立てたオレに殺してもらいたい為に、死のツル(アヤ=ツル、ワスカ=)を食ったんだな。」とアカールに語った。怒る大猫を目の前にアカールは震え声で、「おっ俺は、おまえなんか、こっ怖くはない!」それを聞いたジャガーはその場で笑いころげながら、「おまえなんか怖くない」と真似て歌いはじめた。

 

  あまりにもの恐怖に、アタールはその場に吐くと同時に便も出る始末であった。それを見たジャガーは、ジャングルのフロアに寝転がってますます笑いが止まらない。笑いながらジャガーは、「オレがおまえを食っていたのなら、こんな面白い会話はなかったぞ」と続けた。

 

  俺は確かにジャガーと話したのだとアカールは考えた。「これはすごい名誉あることだぞ。ジャガーが今、俺のアライ(盟友)となってくれたんだ・・・」

 

  さてところは変わって、リードという男がボスからプロジェクトをやめてしまえ忠告されている。間違えば裁判だたになりかねない非常にリスクの大きいプロジェクトだからだからである。その上、ボスが心配している事は、リードが、バーチャルキャラクターのアカールにあまりにものめり込んでいくことだった。ボスのデレックがオフィスから出ていくや否や、リードは再びヴァーチャル装置に戻った。彼は小道を歩いていきながら、ジャングルのムーッとする豊かな匂を楽しんで味わった。「上空から見てみることにしよう!」と言ってコンピュータにリードは命じた。システムはリードに地図を提供して受け答えた。「小道のこの辺にジャングルをぬけて、湖を作ることにして・・・」とセットすると、地図は消えた。リードはブッシュマスターと呼ばれる二メートルもある猛毒をもつヘビに殆ど噛まれそうになりながら、全く新たなジャングルのトレールを歩んで行った。「キャラクターを登場させよう!」とリードが命じてダウンロードするや否や、妙なチクチクするような感覚が、リードを襲った。アカールは座って、「なんて変なヴィジョンをこのヴァインはくれるんだ!? もう一つの世界ってひどいところじゃないか。」と目をこすりながらそう言った。

 

  彼は村に帰って、チーフに自分が見たヴィジョンについて打ち明けることを決心した。「おまえは長老の会合を盗み聞きしたのか!その上、監督なしに一人でヴァインを飲んだのだから、罰として、おまえをこの部族から永遠に追放する。」と酋長はアカールに大声で怒った。

 

  アカールは目を真っ赤にして泣きながら、村を去り、あの小屋跡まで再び戻ってきた。「どうせここで一人で死ぬのなら、もう一つの世界の悪霊と戦かわねばならないのだから・・・」と言いながら、アカールはさっきの残りのヴィジョン・ヴァインを一息に飲んでしまった。彼は新しい道を見つけた。「こんな道、今まで見たことがない。歩いていってみよう。」と彼は心の中でつぶやいた。やがて湖に出てきたアカールは、水面に映っている自分の姿を見るとなんと裸だった!「もうひとつの世界の霊が笑うではないか」と彼は悲鳴をあげた。

 

  リードはすばやく後ろを向いた。しかし遅すぎた。計画的に再びデレックが戻ってきて、リードが会社の規則を破っているのを見とどめに戻ってきたのである。その場で、リードは首になった。家に帰った彼は決心をした。「あの世界が恋しい。俺は戻るぞ!

 

  ヘッドホーンをつけると、彼はすぐに湖に戻っていた。水面に寄り添うと、すぐさまキャラクター、アカールに入ってしまった。アカールはひと瞬きすると、目の前には、大蛇、アナコンダが彼の足に巻ついて下へひきずりこもうとしている。彼は悲鳴をあげて必死ではいずり上がろうとした。「キャラクター、退場!!」アナコンダにかかれば、少年には全くチャンスはない。「しかし、待てよ・・・」とリードは考えた。「確か原住民は、自分自身の死?と再生?を体験するためにアヤワスカを飲むはずだったのではでは・・・それに彼らは動物に変身する時にもアヤワスカを飲むって聞いたが・・・ではジャガーなんてどうかな」とコンピュータにリードは「キャラクターよ、戻れ」と命じる。するとジャガーが湖の水面にガォーと吠えて飛び出てくると同時にアナコンダの頭を爪で裂いている。強く締めつけられていたので、毛を逆立てて吠えると、アナコンダの息は絶えていた。アカールが巨大な猫の前足を見つめていると、たちまち人間の手に戻っていた。彼は水面に自分の顔を映すと、見慣れない顔が投射された。「もう一つの世界の男に違いない。なんてすごいシャーマンなんだろう。オレもいつかあんなになってみたいなあ!」と言ってアカールが指で水面に触れて水輪が広がるとると、たちまち二つの世界は一つに統合した。

 

  いいアイデアにリードはひらめいた。「そうだ。スタートからもう一度もっとよくって、もっとリアルに自分のコンピュータで創ってみよう。インターネットに入力してタダでみんなとシェアーして、誰でも使えるようにすれば、人々は再び自然とのコネクションに目覚めるだろう。そうなると自然を保護するための寄付金が集まるようになる。コード保管所からDNAを集めて何千もの種を増やすこともできる。」と考えながらリードは興奮した。

 

  アカールは、リードの頭にあふれ出てくる想像の全ては理解できなかったが、しかしどちらの世界にも希望が生まれたことは理解できた。アカールは急いで村に駆けて戻った。ジャガーに教えられたイカロを歌うと勇気が出てきた。村に着くと今度はアカールはたちまち囚われて、酋長の前に突き出された。「オレはもう一度、あの世界へ行ってきたんです。そしてその世界の者におれたちの世界を見せると、二つの世界は一つになったんです。我々の魂は生き続けるのです。」とアカールが言ったのだが、酋長は以前よりも憤慨した。アカールがジャガーから教わったイカロを歌っても変わらない。「自分が価値ある者であることを証明しろ。ジャガーが歌うのなんて、この世界でも何回も聞いたことがある。それよりも、もう一つの世界のものを何か見せてみろ。」とチーフは言った。初めはアカールはためらっていたが、変な言葉で語りはじめた。「SHOP FOR THE LATEST REALITIES AT THE REALITIES FACTORY!」(リアリティーのお買い物は、リアリティーズ工場で!) と言うと、チーフは、「一体、どういう意味なんだ」と尋ねた。「もう一つの世界の人々はパワフルなシャーマンたちなんだ。偉大な魂の道具をもっている。しかし彼らのヴィジョンは空なんだ。だから彼らには、オレたちからヴィジョンについて教わる必要がある。だからそのお礼として、彼らからこれから変化の訪れる中を生き残こる方法を教えてもらうのです。」酋長はうなずいて、アカールの勇気を賛えた。「だが、おまえは以前の名前で、再び村に戻ることは出来んぞ! 何ていう名に変える?」と酋長に聞かれると、アカールは、「リードって呼ばれてみたい。」とにっこり笑って答えた。

 

 

 

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